【2024年】包丁作り体験
「包丁の堺徳」のオーナー、奥平(おくだいら)です。
地元、大阪・堺の包丁を売りたいと思い堺の刃物メーカーから堺の包丁を仕入、販売しています。
単に包丁を売るだけでなく、お客様に包丁のことを理解してもらえるように、堺の鍛冶屋、刃付屋を何軒も訪問し、実際の作業を体験させていただき、職人さんからお話を伺ってきました。また、堺だけでなく、岐阜の関、新潟の燕三条、種子島、東京の葛飾の刃物製作所も訪問し、それぞれの特徴やこだわりなどの理解も深めるように努めています。
包丁作り体験
我々の地元、大阪・堺にはたくさんの包丁関連業者があります。
そんな業者の中には、包丁の製作を知ってもらおうと見学や体験をさせてくれる業者があります。
『ものの始まりなんでも堺』というサイトには、見学や体験をさせてくれる業者が紹介されているので、あわせてチェックしてみるといいと思います。
今回ご紹介するのは、包丁の最後の刃付と柄を付ける工程の体験です。
では、早速、体験の内容をみていきましょう。
お店に着いて、簡単に挨拶を済ませるとまずは、近所にある「堺伝匠館」(さかいでんしょうかん)という包丁の博物館に連れて行ってくれます。
そこで、堺の包丁の成り立ち、歴史の説明を受けます。(堺打刃物の歴史については、こちらにも記載していますので、あわせてご覧ください)
堺打刃物の歴史
出刃包丁や麺切包丁など、普段見る包丁から、特殊包丁と言われる専用の包丁の展示を見ていきます。長―い鮪包丁や堺特産の昆布を削る包丁、畳を切る包丁など、食材を切るだけでないいろいろな包丁を見ることができます。
また、鍛冶工程で使用するベルトハンマーの展示もあります。
ベルトハンマーは、熱した鋼を叩いて包丁の形にしていくときに使用するものです。ベルトハンマーがない時期は人がハンマーを振り下ろして作業をしていました。
最後に製作工程のビデオを鑑賞します。鍛冶、刃付の職人さん(伝統工芸士)が登場し、堺の包丁についてコメントされています。
これで包丁の説明は終わりです。
お店に戻り、包丁の製作体験の開始です!
ある程度事前に製作された包丁に最終の刃付、研ぎ作業をしていくのですが、まずは切れない包丁ってどんな状態かをみせてもらいます。切れない包丁で新聞紙を切るのですが、切れない包丁では、刃が入っていきません。また、かまぼこ板に刃を当てるとツルツルと滑っていく状態を確認します。
次にお手本で研ぎの職人さんが実際に切れない包丁を研いでみせてくれます。
さて、今度は体験者の番です。
包丁研ぎをやったことのない方のためにまずは練習です。
まずは、切れない状態の包丁で新聞紙を切って確認します。もちろん、きれいにきれるわけではありません。
次に包丁の持ち方を説明してもらいます。
包丁の持ち方を確認したら、実際に包丁を研いでいきます。
表の刃元から刃先まで順番に研いでいき、表が終わったら裏も同様に研いでいきます。このときは、両刃の包丁だったので、表と裏の両方を研ぎました。
研ぎ終わると最初に新聞紙で確認したように、研いだ包丁で新聞紙を切ってみます。
見事に新聞紙がスパッと切れるようになったことを確認します。
さて、次は自分の包丁を研ぐ番です。
あらかじめ選んでおいた包丁が最終の刃付の手前の状態で用意されています。
包丁は、出刃包丁、刺身包丁、三徳包丁、ペティナイフから選べるので体験を申し込むときに選びます。また、銘という文字入れをしてくれるので、入れてほしい文字も申し込みの時に伝えておきます。
事前に頼んでおいた包丁を研いでいくのですが、最初は、ちゃんと研げるか心配になりますね。
先に練習したとおり、表の刃元から順に刃先まで研いでいきます。
刃元を5回、少し刃先にずらして5回、真ん中あたりで5回、刃先で5回…
表が研げたら裏を研いでいきます。同じように刃元、刃元から少しずらして、そして刃先へと研いでいきます。ひととおり研ぎ終わったら、練習した時のように新聞紙を切って切れ味を確認します。
すうっと包丁が入っていくのを確認すると無事に研げた安心感がでます。
このように包丁を研ぐ感覚を覚えると購入後、包丁を研ぐきっかけになると思います。
さて、刃付が完了すると今度は柄を付ける作業です。
包丁には中子という柄に差し込む部分があるのですが、ここをバーナーで熱していきます。
柄は木でできていますが、1個1個手作成のため、差し込む部分を調整する必要があります。
何度か差し込んでみてちょうどいい状態を探します。
ちょうどいい状態になったら、中子を木の柄に差し込んで、木槌で下から叩いていくと包丁が柄の中に吸い込まれていきます。
左右、前後に歪んでないかを確認し、柄と包丁を固定すると完成です!
えっ、こんな簡単に柄が付いてしまうの?と思うくらいの作業ですが、まっすぐ付いていないと食材をちゃんと切れないということになるので、最後の微調整は重要です。そこはやはり職人技なんだと思います。
柄に使われる木材(今回は朴の木)は、1個1個、手作業で柄の形にするので、1丁1丁、手作成された包丁と1個1個、手作成された柄を絶妙に合わせるのには、職人のスキルと経験が必要なんだと思います。
今回、研ぎ作業と柄付け作業を体験させていただいたのですが、数ある包丁製作の工程のほんの一部に過ぎませんが、貴重な経験をさせていただけたと思います。
研ぎの体験を受けただけで、家で自分で研ぎができるかというとそんな簡単ではないと思いますが、少しでも包丁のことを知ってもらえるきっかけになればいいなと思いました。
包丁販売店に行ってみよう!
実際にものを見てみないとよくわからないという方は、包丁販売店に行って、実際に包丁をもってみてください。ただし、ほとんどのお店では試し切りはさせてもらえないので、切れ味を確かめて買うことはできません。
近くに包丁販売専門店がない場合は、包丁専門店の通販サイトで購入されるのがよいでしょう。
「包丁の堺徳」では、実際に切っているところを動画にして公開していますので、参考にしてください。