【2024年】包丁の製造 鋼編 その2
「包丁の堺徳」のオーナー、奥平(おくだいら)です。
地元、大阪・堺の包丁を売りたいと思い堺の刃物メーカーから堺の包丁を仕入、販売しています。
単に包丁を売るだけでなく、お客様に包丁のことを理解してもらえるように、堺の鍛冶屋、刃付屋を何軒も訪問し、実際の作業を体験させていただき、職人さんからお話を伺ってきました。また、堺だけでなく、岐阜の関、新潟の燕三条、種子島、東京の葛飾の刃物製作所も訪問し、それぞれの特徴やこだわりなどの理解も深めるように努めています。
包丁の製造 鋼編 その2
前回、鋼の包丁の鍛造工程についてみてきました。
今回は、刃付工程についてみていきたいと思います。
鍛造工程で出来上がってきた包丁は黒く刃の部分も分厚いものです。
その包丁を砥石を使って、切れる状態にしていくのが刃付工程です。
まずは、水砥石とも円砥石とも言われる大きな回転する砥石をつかって、荒研ぎをしていきます。
このとき、木の枠に包丁を固定して、大きな円形の砥石に水を掛けながら研いでいきます。
次にパフをあてます。研いでいくと熱を持って歪みがでることがあるので、その場合は、歪みを取りながら研いでいくことになります。
荒研ぎが終わると本研ぎと言われる工程になります。この工程では、砥石を変えて更に刃を薄めていきます。この工程が終わると見た目にも包丁らしい形になっています。
本研ぎが終わると裏を研ぎます。鍛冶工程でつけた裏すきの形を整える作業です。
次に木砥を当てていきます。木砥とは木製の回転砥石(石ではないですが)で荒研ぎの砥石の面を細かくしていく作業です。
この後、皆さんがよく見る各砥石を使って刃を付けていきます。
まずは中砥石を使って研いでいきます。中砥石のあとは仕上砥石を使って研いだ後、小刃をつけていきます。
その後、ぼかしや霞の作業を行い刃付け作業が完了します。
刃付の作業は、目の粗い砥石から、目の細かい砥石へと順に研いでいく作業なのですが、砥石の番手をいくつも変えて行っていく作業です。
前出のように書いてみるとすごくシンプルで、工程が少ないように見えるかもしれませんが、実際は1つ1つの工程に時間が掛かりますし、1丁1丁丁寧に対応していく必要があります。また、研いでいくと刃物が熱をもってしまうので、水を使い刃物が熱を持たないようにしながら進めていきます。刃物が熱を持ってしまうと反ってしまったり、歪みが出てしまったりするので注意が必要なのです。
また刃付には、鏡面仕上げという作業もあります。
包丁の平とよばれる部分や峰、裏の部分を鏡のように仕上げることを鏡面仕上げといいます。
1面のみ、表裏の両面、峰の部分も含めた全鏡面を鏡面に仕上げる方法があります。
鏡面仕上げは1丁1丁時間を掛けて砥石で研いだり、研磨剤で磨き上げていく作業になるので、
とても時間の掛かる作業になります。
鏡面に仕上げられた包丁は見た目にとてもきれいですし、寿司屋などで、カウンターの職人さんが使われていると格好いいですね。
ここまで、刃付工程についてみてきました。
鍛造工程と合わせて、刃付工程でしっかりといい刃が付けられて初めていい包丁になるといえます。もちろん、この後の柄付け工程も大事です。
刃付体験や見学ができる工房もあるので、興味がある方は、是非、体験や見学に行かれてはいかがでしょうか。
私自身、刃付体験に行かせていただき、包丁研ぎを教えてもらいましたので、いいきっかけになるのではないでしょうか?
ものの始まりなんでも堺 https://sakai-openfactory.jp/
包丁販売店に行ってみよう!
包丁を買う場合、実際にものを見てみないとよくわからないという方は、包丁販売店に行って、実際に包丁をもってみてください。ただし、ほとんどのお店では試し切りはさせてもらえないので、切れ味を確かめて買うことはできません。
近くに包丁販売専門店がない場合は、包丁専門店の通販サイトで購入されるのがよいでしょう。
「包丁の堺徳」では、実際に切っているところを動画にして公開していますので、参考にしてください。