【2024年】包丁の製造 鋼編 その1
「包丁の堺徳」のオーナー、奥平(おくだいら)です。
地元、大阪・堺の包丁を売りたいと思い堺の刃物メーカーから堺の包丁を仕入、販売しています。
単に包丁を売るだけでなく、お客様に包丁のことを理解してもらえるように、堺の鍛冶屋、刃付屋を何軒も訪問し、実際の作業を体験させていただき、職人さんからお話を伺ってきました。また、堺だけでなく、岐阜の関、新潟の燕三条、種子島、東京の葛飾の刃物製作所も訪問し、それぞれの特徴やこだわりなどの理解も深めるように努めています。
包丁の製造 鋼編 その1
みなさんは包丁がどのように製造されているかご存じですか?
鋼の包丁、ステンレスの包丁で少し違いがありますが、今回は、鋼の製造方法をみていくことにします。
鋼の包丁を作るには、鍛冶屋さん、研ぎ屋さん、問屋さんがそれぞれの作業をすることで、1丁の包丁ができあがります。
まずは、鍛冶屋さんが熱した鋼を叩いて包丁の形を作ります。
次に研ぎ屋さんが、包丁と研いでいき、刃を付けます。
刃が付いたら、問屋さんで柄を付け、銘を切ることで販売できる包丁に仕上がります。
ざっとは、こんな流れなのですが、今回は、その中でも鍛冶屋さんの作業について、詳しくみていくことにしましょう。
まずは、軟鉄と鋼を1500℃の炉で熱したものをハンマーで叩いて包丁の形にしていきます。
包丁の形になってきたら、中子という柄に指す部分をハンマーを使って作ります。
包丁の形になったものをハンマーで荒叩きします。
その後、グラインダーを使って、裏すきを作ります。
もう一度、ハンマーで叩きます。このとき、強度を与えるとともに歪みを取っていきます。
裁ちまわしの工程では、余分な部分を切断し、包丁の形にします。
この後の焼き入れの際に、焼むらを抑えるため、泥を塗ります。
泥を塗った包丁を800℃の炉で焼き入れします。
焼き入れしたあとは、一気に水に入れて熱を取ります。これにより、刃金の硬度が高まります。
冷めた包丁を再度200℃の炉に入れて焼き戻しをします。これにより、刃金に粘りが出て欠けにくい刃ができます。
ここまでが鍛冶屋さんの仕事になります。
私も地元堺の鍛冶屋さんで実際に見学や体験をさせていただきました。
炉の温度は1500℃にもなるので、夏場の作業はとても大変だと思います。
また、ハンマーはベルトハンマーという足でコントロールするハンマーを使っているところが多いですが、ペダルの踏み具合でハンマーのスピードが変わる仕様なので、加減が難しいと思いました。
裁ちまわしで、手動のカッターで余分な部分を切り取る作業をさせてもらいましたが、結構な力が必要でなかなかの重労働だと思いました。
鍛冶工程全体を見ると、火との戦いだなと思います。
ただ、包丁がたくさんの工程を経て出来上がることを知れてよかったと思いましたし、これだけたくさんの工程を1丁1丁丁寧に作業して作られているからこそ、一生使い続けることのできるいい包丁になるんだというがわかりました。
堺だけでなく、実際に鍛冶仕事を見学や体験できるところもあるので、興味のある方は、見学や体験されてみてはいかがでしょう。
ある程度の値段(例えば1万円以上)の包丁は、製造するのにそれだけの手間や時間が掛けられていることを知ると包丁の値段についての理解の深まると思いますし、そうやって作られた包丁を使うことで、包丁への愛着も湧くのではないでしょうか。
鍛造工程について、1分程度の動画にまとめてありますので、あわせて見ていただければと思います。
https://youtu.be/kUtjYjPDNbo
包丁販売店に行ってみよう!
実際にものを見てみないとよくわからないという方は、包丁販売店に行って、実際に包丁をもってみてください。ただし、ほとんどのお店では試し切りはさせてもらえないので、切れ味を確かめて買うことはできません。
近くに包丁販売専門店がない場合は、包丁専門店の通販サイトで購入されるのがよいでしょう。
「包丁の堺徳」では、実際に切っているところを動画にして公開していますので、参考にしてください。