【2024年】包丁の研ぎ直し 砥石のおすすめ
「包丁の堺徳」のオーナー、奥平(おくだいら)です。
地元、大阪・堺の包丁を売りたいと思い堺の刃物メーカーから堺の包丁を仕入、販売しています。
単に包丁を売るだけでなく、お客様に包丁のことを理解してもらえるように、堺の鍛冶屋、刃付屋を何軒も訪問し、実際の作業を体験させていただき、職人さんからお話を伺ってきました。また、堺だけでなく、岐阜の関、新潟の燕三条、種子島、東京の葛飾の刃物製作所も訪問し、それぞれの特徴やこだわりなどの理解も深めるように努めています。
包丁の研ぎ直し 砥石はどれがおすすめ?
みなさん、包丁の切れ味が悪くなったらどうしていますか?
「そんなにいいものを買ってないから、買い替えているよ」という方もいらっしゃるでしょう。
でも、長年使った包丁、愛着もあって使い続けたいとは思いませんでしたか?
同じ包丁を長く使い続けようとしたら、包丁を研ぎ直す必要が出てきますよね。
そんな時に必要なのが、砥石、シャープナーです。
シャープナーには、TOOLの間に包丁を通すもの、棒状の金具に包丁の刃を当てるものなんかがありますが、今回は砥石の話をしたいと思います。
砥石の種類は大きく4つ
砥石には大きく4つの種類があります。
①荒砥石
②中砥石
③仕上砥石
④修正砥石
まずは、荒砥石から見ていきましょう。
①荒砥石
荒砥石は、包丁が大きく欠けてしまったり、長年包丁を使っていて、刃先が厚くなった場合に、シノギを薄くするというように、大きく研ぐ場合に使用するものです。
「刃先とかシノギってどこの部分のこと?」って思ってる方もいらっしゃるでしょうから、簡単にいうと包丁の形を整えるために使う砥石って理解してもらえるといいと思います。
面の荒さ、番手でいうと#200〜#600くらいのものを指します
②中砥石
一般家庭で研ぎ直しをする際に使用する砥石が中砥石です。小さな刃こぼれや切れ味が落ちた包丁を修復させるために使用します。
面の荒さ、番手でいうと#800〜#2000くらいのものを指します。
③仕上砥石
ご家庭で仕上砥石を持たれている方は少ないかと思いますが、中砥石で研いだ包丁をさらに切れ味を高めたり、小刃(糸刃)を付けるのに使用します。
小刃(糸刃)については、別のブログで説明します。
面の荒さ、番手でいうと#2000以上のものを指します。
④修正砥石
「修正砥石って何?」って思った方も多いのではないでしょうか?
修正砥石は、砥石の表面を平らに直すための砥石です。
砥石で包丁を研いでいくと研いだ箇所が凹んでいきます。凹んだ状態で研ぎ進めても綺麗に包丁が研げません。なので、修正砥石を使って、砥石の面を平らに修正してあげる必要があるのです。みなさんがよくいくスーパーやホームセンターだと、この修正砥石はあっても1個か2個くらいなので、そもそも見たこともないという方が多いのも頷けます。
しかし、包丁を綺麗に研ごうとすると必ず必要なものなので、是非、1つ購入していただきたい商品です。
砥石の材質
砥石の種類には4つあることがわかりました。
「でも、そもそも砥石って何でできているの?」って疑問が湧いた方もいらっしゃるでしょう。
砥石には、人造砥石と天然砥石があります。
人造砥石は字の如く人が人工的に作ったもの。
種類としては、ビトリファイド、レジノイド、マグネシアという作り方が一般的です。
ビトリファイドは、粘土、ガラス等が原材料で、1200~1300度の高温で焼成する砥石です。
レジノイドは、結合剤として、フェノール樹脂やエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を用い200℃程度の温度で硬化させたもの。
マグネシアは、結合剤として酸化マグネシウムと塩化マグネシウムによる一種のセメント(マグネシアセメント)を使って、それが化学反応で硬化するのを利用したもの。
ビトリファイドは使う前に10分程度水に浸す必要があります。マグネシアは、水に浸す必要がなく、軽く水分を与えるだけで使い始めることができますが、長時間水に浸すと、ひび割れが出たり、硬度が落ちるということが発生します。
このほか、電着砥石があり、ダイヤモンドなど砥粒を金属に電着させたものがあります。
人造砥石は、品質も安定していますし、大量生産が可能なので、比較的安価で購入できます。
スーパーやホームセンターで販売されている砥石はほとんどこの人造砥石です。
天然砥石は、各地の山などから採掘した天然砥石です。
荒砥石と中砥石は全国各地に産地があります。
荒砥石では、佐賀県や和歌山県の大村砥。中砥石では、愛媛県の伊予砥、京都府の青砥、熊本県の天草砥、群馬県の沼田砥、愛知県の三河白名倉砥などあります。仕上砥石としては、京都府の合砥は古くから鳴滝砥と呼ばれ、仕上砥石としては非常に有名で、その中でも中山砥は最高品質とされています。
天然砥石は何億年も昔から現代にかけて気の遠くなる時間をかけて堆積岩や凝灰岩などが積み重なって出来た地層を採掘した天然石です。採掘される地域によって砥石の特色も変わっていて、それによって研ぎの仕上がりが変わってきます。
品質が一定でないことや採掘する作業者、経営者の高齢化によって、採掘量が減っているため、価格は人造砥石に比べると高くなります。
しかしながら、研ぎあげた包丁の切れ味、美しさは人造砥石と比べものになりません!
興味がある方は、一度、天然砥石での研ぎを体験してみてほしいです。
京都の亀岡にある天然砥石館では、約200種類の天然砥石の試し研ぎが体験できます。
お近くの方は一度、行ってみてはどうでしょう?
天然砥石館 https://www.tennentoishikan.com
砥石選びのおすすめ 結局のところ何を選べばいいの?
包丁研ぎをこれからやってみようという方は、中砥石と修正砥石を購入してください。
中砥石の材質は、ステンレス包丁をお持ちなら、マグネシア、鋼の包丁をお持ちなら、ビトリファイドの砥石を選ぶといいでしょう。
すでに中砥石は持っている方は、仕上砥石を追加するといいでしょう。上記にも書いたようにお持ちの包丁の材質に合わせて砥石の材質を選ぶのがいいでしょう。
すでに砥石は持っていて、研ぎ直しをしているけど、研ぎ直しした包丁の状態に満足していない方は、一度、天然砥石を使ってみてはいかがでしょう?天然砥石はいろいろな種類がありますが、個人的には青砥を使ってみるのがいいと思います。
包丁販売店に行ってみよう!
東京の合羽橋、大阪の日本橋道具街には、包丁専門店が軒を連ねています。
包丁専門店に行けば、それぞれの店舗が薦める砥石が並んでいますので、一度、みに行かれるのもいいと思います。
「包丁の堺徳」では、ビトリファイドの砥石を販売しています。包丁専門店になかなか行けないという方は、包丁の研ぎ方動画と合わせて参考にしてみてください。