【2024年】包丁の産地

「包丁の堺徳」のオーナー、奥平(おくだいら)です。
地元、大阪・堺の包丁を売りたいと思い堺の刃物メーカーから堺の包丁を仕入、販売しています。
単に包丁を売るだけでなく、お客様に包丁のことを理解してもらえるように、堺の鍛冶屋、刃付屋を何軒も訪問し、実際の作業を体験させていただき、職人さんからお話を伺ってきました。また、堺だけでなく、岐阜の関、新潟の燕三条、種子島、東京の葛飾の刃物製作所も訪問し、それぞれの特徴やこだわりなどの理解も深めるように努めています。

 

包丁の産地

包丁は日本各地で製作されています。
今回は、包丁の産地として次の有名な3つの産地を取り上げます。

 ①岐阜県関市
 ②新潟県燕三条
 ③大阪府堺市

では、それぞれの特徴を見ていきましょう。

 

 ①岐阜県関市

鎌倉時代から室町時代に刀鍛冶が日本刀の製作に欠かせない良質の焼刃土と水、炭があったことで定住し、製作を始めたことが、「刃物の町関」の始まりと言われています。
関で製作された日本刀は、多くの武士に愛されていたようです。かの有名な伊達政宗も関の日本刀を愛用していたようです。
明治9年に廃刀令が出されると、日本刀の生産が減ったため、包丁製作に転じて生業を続けてきました。
関では、刃物製作の技術を生かして、包丁だけでなく、かみそりやハサミなども生産されています。
有名な企業だと、貝印、フェザーがあります。
包丁のブランドだと、「関孫六」、「Misono」、「関虎徹」が有名です。
現在では、ステンレスの包丁を機械生産することにより、安くて切れ味の良い包丁を作っている産地として有名です。
スーパーやホームセンターの包丁販売コーナーには、「関孫六」の1万円以下で買える商品が並んでいます。
ステンレス製の三徳包丁やペティナイフが手頃な値段で購入できるのはうれしいですね。

 

 ②新潟県燕三条

新潟県三条市は、河川の氾濫に悩まされていた農民を救済するため、江戸から釘職人を招き、農家の副業として、和釘の製造を開始したのが始まりとされています。
その中から鍛冶専業の者が現れ、のこぎりや鉈といった製造が開始されていきます。これにより刃物が大量に生産されるようになり、金物販売商人が出てきて各地に販売するようになっていきます。
包丁だけでなく、鍬、鉈などを製作していた技術と金物商人が各地からのニーズを聞き、その要望に応えて製作をした職人がいたことにより、製作技術が高まってきたと考えられます。
金物加工の技術が高いこの地では、刃物だけでなく、スプーンなどのカトラリー類、やかんなどの生産も盛んにおこなわれています。
有名な企業だと、吉田金属、藤次郎があります。
包丁のブランドだと、「GLOBAL」、「Tojiro」が有名です。
GLOBALが日本で初めてオールステンレスの包丁を発売したことでその名が知れ渡りました。オールステンレスの包丁なら燕三条というイメージになったと思います。

 ③大阪府堺市

大阪、堺市には世界最大の古墳、仁徳陵があります。古墳の造営には鍬や鋤などが大量に使用されたと考えられます。
1543年にポルトガルから伝来した鉄砲が種子島を経由して堺に伝わり、包丁を作る鍛冶の技術が鉄砲の製作にも生かされました。
1573年頃の天正年間にたばこの葉を刻むたばこ包丁が造られるようになったのが、堺の包丁の始まりと言われています。その後、徳川幕府から、「堺極」の印を附して専売したことから堺刃物の切れ味と名声が全国に広がりました。
包丁以外にもハサミの製作も行われていますが、職人さんが使用する料理包丁が有名です。鋼で作られる和包丁の製作が得意で、プロの料理人の9割が堺の包丁を使用していると言われたこともあります。
有名な企業だと、青木刃物、堺刀司、實光があります。
包丁の銘だと、「堺孝行」、「實光」などがあります。
職人が1丁1丁、手作成で製作されるため、燕三条や関と比べると生産量が少ないですが、出刃包丁や柳刃包丁といった和包丁の製作が得意といった特徴があります。

 

日本の包丁の3大産地について述べてきましたが、3大産地以外でも包丁が製作されています。
最近では、福井県の越前、高知の土佐の刃物を販売する包丁専門店が目立つようになりました。
他には、兵庫県の三木、青森県、鹿児島県の種子島、東京都の葛飾でも包丁の製作が行われています。生産量の違いはありますが、どの産地の包丁もすばらしいものであることに間違いはありません。

 

包丁販売店に行ってみよう!

実際にものを見てみないとよくわからないという方は、包丁販売店に行って、実際に包丁をもってみてください。ただし、ほとんどのお店では試し切りはさせてもらえないので、切れ味を確かめて買うことはできません。
近くに包丁販売専門店がない場合は、包丁専門店の通販サイトで購入されるのがよいでしょう。
「包丁の堺徳」では、実際に切っているところを動画にして公開していますので、参考にしてください。

包丁の堺徳 - YouTube

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